「さっきまでは本当に平気だったの。だけど、眠ってたら廃虚ビルで聞こえた水の音がして……」
「水の音?」
「幻聴だったみたい。水回りは全部確認したけど、なんともなかったから」
「すぐに気づいてやれなくてごめん。こんな言葉じゃ瑠佳の不安は拭いきれないかもしれないけど、俺がそばにいる。瑠佳が安心して休めるように起きてるから」
いつもよりもずっと優しい声が耳に落ちてくる。
そんなことを言われたら、私はますますダメになる。
……彼の優しさに甘えてはいけない。
私は怜央の体を押し返して、残りの水を一気に飲み干した。
「もう落ち着いたから大丈夫。怜央も私のことは気にしないで眠って」
「でも、」
「じゃないと朝、起きられなくなっちゃうよ。怜央も1限から授業出るでしょ?」
「ああ」
「じゃあ、寝室に戻ろう」
「……そうだな」



