【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。



「怜央、ごめん。起こしちゃった?」

「こんな時間に何やってんだ?」


「えっと……。喉が渇いたから、お水をもらおうかなーと思って」

首を傾げながら「いいかな?」と尋ねると、シンクの横に置いてあったコップを手渡された。

「ありがとう。怜央も飲む?」

「俺はいい」

「わかった」

冷蔵庫の中から取り出した水をコップに注ぐ私の横で、怜央が何か言いたそうな顔をしている。

けれど、私はそれに気づかないふりをしながら冷たい水を口へと運んだ。


「なぁ」

「ん、何?」

「本当は何してたんだよ」

「何って……だから水を」

「そんな嘘が通用するとでも思ってんのか」

「えっ……?」

私がコップを置いた途端に怜央が歩み寄ってくる。

そして、何も言わずにぎゅっと抱きしめられた。

ベッドから出て数分。冷えきった体に怜央の温もりが伝わってくる。


「顔青ざめてる。目も涙目だし。……もしかして、香坂のことを思い出したのか?」

その言葉に肩がビクッと震えた。

隠し通せると思ったんだけどな……。

怜央の前だといつも格好がつかない。