「今日も部活あるんでしょ?そろそろ行かないと遅れちゃうよ。私も怜央を待たせてるから、ね?」
「うぅ……わかった。もう行くよ。危険なことは絶対にしちゃだめだからね。それから、何かあったらすぐに連絡してね?」
「うん」
「約束だからね!」
「約束する」
ようやく部活へと向かう気になった新那。
私は最後に「また夜連絡する」と彼女に伝えてから急いで昇降口へと向かった。
《正門の前にいる》
その連絡がきたのは5分も前のことだ。
上履きからローファーに履き替え走っていると、コソコソと話をしながら歩く生徒たちの姿が目に入った。
多分、彼らの視線の先には怜央がいるのだろう。
…………やっぱり。
私の予感は的中。
壁にもたれながら、スマホを見ている怜央。横には一台のバイクが停めてあった。
「遅くなってごめん」
私が声をかけると、なぜか他の生徒たちも振り向いた。
平凡な女子が暴走族の総長に話しかけている。その様子が不思議でたまらないのだろう。