【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。



「怜央さんからアジトに来るよう言われたので、大通りでタクシーを拾いましょうか」


「タクシーで向かうの?あれっ、そういえば冬馬くんバイクは?」

冬馬くんがいつも乗っている黄色の愛車が今日は見当たらない。

「あー、俺まだ免許取り立てで2人乗りはできないんですよ。だから、近くに置いてきました」


そういえば、冬馬くんが私をバイト先から家まで送ってくれる時はいつも徒歩か自転車だった。


「怜央さんは俺が免許を取ったばかりだってこと知ってるんですよ。それなのに、わざわざ俺を寄越したってことは、瑠佳さんが他の野郎とニケツするのが嫌だったんじゃないですか?」

冬馬くんは歩きながら、そう口にした。

「……えぇー、それは違うんじゃない?ただ怜央が冬馬くんを信頼してるだけだと思うな」

むしろ、その線しか考えられない。

怜央が私を大切にしてくれていることはわかる。

だけど、彼から独占欲のようなものは一切感じたことがない。

それは雇われ姫の私には抱くはずのない感情だ。