「冬馬くんが来るまでに終わらせないと」
電話を終えてから、もう20分は経過した。
このままだと確実に冬馬くんを待たせることになる。
別に彼はそんなことで怒ったりはしないだろう。
けれど、狂猫が動き出した今、私の都合で闇狼メンバーの時間を削るわけにはいかないのだ。
一秒も手を休めることなく作業を進めていると、ガラガラッと前方のドアが開いた。
「あれ、水瀬さん何してるの?」
そう声をかけたきたのは、うちのクラスの学級委員長である石橋くん。
「あ、委員長」
彼は持っていた本を自分の机の上へと置くと、片手でメガネをクイッと上げた。
それと同時にきっちりと切り揃えられた艶のある黒髪が揺れる。
品行方正、学術優秀。
模範生と呼ぶのに相応しい彼は1年の時も学級委員長を務めていて、その頃から皆に委員長と呼ばれていた。



