【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。



教室に戻ると、まだ数名の女子生徒が残っていて私は自分の席へと腰を下ろした。 


それから、スマホに視線を落とすこと数分。

私以外、誰もいなくなった教室の窓を開けて外を覗く。

「あ、いたいた」

グラウンドの隅でストレッチをするテニス部を発見。その中には新那の姿も。

4階からでは届かないとわかりつつも「頑張れ〜」と声援を送って観察を続けた。



いくつかのストレッチを終えた後、ランニングのために校外へと出ていってしまったテニス部。

「暇になっちゃったな」

手持ち無沙汰になった私はぼそりとつぶやく。

誰もいない教室で発した、ただの独り言。

まさか、聞いてる人がいるなんて思いもしなかった。

「水瀬、まだ残ってたのか?」

突然、名前を呼ばれて肩がビクリと反応する。 


廊下から声をかけてきたのは、担任の柳沢(やなぎさわ)先生だった。

「せ、先生……。びっくりさせないでくださいよ」

「すまんすまん。でも、水瀬の独り言?廊下まで聞こえてたぞ」