雇われ姫をはじめてから1か月。


3つ掛け持ちしていたバイトは居酒屋の閉店に伴い、スーパーと姫の2つになった。

けれど、収入は減るどころかむしろ増えている。

それは雇われ姫としての稼働時間が増えたからであり、必然的に怜央と過ごす時間も多くなっていた。

仕事内容は変わらず、総長である怜央のそばにいること。 


バイト初日から取り組んでいた認知活動はどうやら上手くいったようで、最近は一人で歩いていても視線を感じるようになった。

『闇狼の姫』として、ようやくスタート地点に立てた私。


今のところ狂猫やその他のチームに動きはないが、敵はいつ行動に出るかわからない。

そんなこともあって、遅くなる日は怜央や幹部のメンバーが必ず護衛に付いてくれている。

アジトにも数え切れないほど足を運び、他の闇狼のメンバーたちとも普通に話せるようになってきた。


『姫』と呼ばれるのには正直、まだ違和感があるけれど、それもあと数か月のことだ。