【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。



新那と真宙くんが買い出しにでかけたことにより、私と怜央はまた2人きりに。

「瑠佳」

「えっ、あ、何?」

「手、拭くだろ」

「あ、おてふきね。ありがと」


もらったおてふきで手を拭いている間、私と怜央の間には沈黙が流れる。

何か話したいけれど、何を話せば良いのかわからない。

いや、正確にいうと聞きたいことはある。

あるには、あるんだけれど……。

もしかしたら、私が今から口にする言葉は見当違いかもしれない。

でも、話さなければわからないことがあるということを私はついさっき学んだばかりなのだ。


「ねぇ、怜央」

「ん?」

「昼間のことなんだけど……」

「あぁー……。だから、悪かったと思ってる」

「あ、いや、そうじゃなくて……!その、違うんだったらはっきりと違うって言ってほしいんだけど」

「何だよ?」

「正門で新那に向かってキツい言い方したって言ったでしょ。あれって本当は何か理由があったの?」

今日、怜央と一緒に過ごして改めて感じたことがある。

彼は確かに姫を特別に、そして一番に考えている。

しかし、だからといって他はどうでもいいなんて考え方をするような人には思えない。