「……どうしたのこれ?」
学校から海までは寄り道をせずに来た。
「5限の時に買いに行った。瑠佳、屋上におにぎり置いてったから昼飯食えてねぇんじゃないかと思って」
さっきお腹が鳴ったのは、昼食を食べそこねたから。
新那を追いかけるために屋上を後にした私は、いつもの巨大おにぎりをその場へ置き忘れてしまったのだ。
……わざわざ買いに行ってくれたんだ。
「あ、お金払うよ」
「いらねぇ。瑠佳のおにぎりは俺が貰ったから、その代わり」
私の作った巨大おにぎり(中身はごくわずかな鮭とおかか)が、有名店のパンに代わるって……。
わらしべ長者も驚くんじゃないだろうか。
「真宙と小川も食えよ」
「お、やったー」
「ありがとうございます」
「あ、その前に俺なんか飲み物買ってくるわ。新那ちゃんも一緒に行かない?」
「え……あっ、はい!」
サンダルからローファーへと履き替えた新那は勢いよく立ち上がると、真宙くんと少しだけ距離を開けて隣に並んだ。
こんなにも早く新那が心を許すなんて、真宙くんってば一体何者……?



