「でも、瑠佳を抱き上げてる方がしっくりくるな」
「…………え?」
「なんたって俺の姫だからな」
数センチ先の距離で、怜央が目を細めて笑う。
今、そんなことを言うなんてずるい。
櫻子さんと比べたいわけじゃないのに、そんなことをしたって敵うわけないのに。
怜央の言葉一つで胸が苦しくなる、嬉しくなる。
バイト先の店長にはこんな感情抱かない。
だから、本当はこの気持ちの正体に気づき始めている。
でも、私はお金のために怜央といることを選んだ。
勘違いしてはいけない、邪な気持ちなど抱いてはいけない。
当たり前のようにそばにいられるのは、今だけなんだから。
その当たり前は数か月後にはなくなり、また元の生活に戻る。
生きるために働く毎日だ。
その時、この想いは邪魔になる。
私には、雇われの姫には、必要のない感情なんだ。



