【完全版】雇われ姫は、総長様の手によって甘やかされる。



「こんなもんか。移動するから腕ちゃんと首に回せよ。落ちたら全身、砂まみれだぞ」

「ちょっと待ってよ。新那はどうするの?」

このままだと新那を一人、置いてけぼりにしてしまう。


「小川のことは真宙が迎えに来るから待ってろ」


「え……。わ、私は大丈夫です!」

新那は全力で首を横へと振る。

そうしないと自分も同じ目に合うと思ったからだろう。

「だ、大丈夫!新那!私が迎えに来るから」

何も真宙くんを向かわせる必要はない。

ローファーを履いたら私が戻ればいいのだ。

私の言葉に安堵したのか、胸に手を当てながらはぁーと息を吐く新那。


「……俺はどっちでもいいけど、そのためにはまず瑠佳が戻んねぇとな。ほら腕」

そうだ……。

私が新那を迎えに来るためには、まず自分が元いた場所へと戻らなければならない。

その間の時間が長くなればなるほど、新那の体温が奪われていく。

そうならないために、私ができることはただ一つ。 


「わかった」

この体勢を受け入れて怜央に身を預けることだ。