「ここってどこかに水道とかあるのかな?」
「シャワー室ならあったような気がするけど、今はまだ使えねーだろ」
「私、ハンカチなら持ってるよ」
同じ状況の新那がスカートのポケットからハンカチを取り出す。
「あ……!私もハンカチならある!……けど、結局歩いてるうちにまた砂がつくよね」
ローファーと靴下があるのは数十メートル先だ。
「ようは足に砂がつかなきゃいいんだろ」
「うん。何か良い方法があるの?」
そう返事をした直後のことだ。
私の足は砂浜から浮き、目の前の景色が突然切り替わった。
「…………へ?」
決して軽くはない私の体を軽々と抱きかかえた怜央。
彼の腕はいつの間にか私の背中と足を支えている。
一方で行き場をなくした腕を胸の前でクロスさせる私。
「腕は首な。落ちるぞ」
「いや、それはちょっと」
この腕を怜央の首に回せば完成してしまう。
……いわゆる“お姫様抱っこ”と呼ばれるポーズが。



