「何でもねぇよ」と囁くように返事をしながら、皇羽さんは再び私を抱きしめる。
ぶっきらぼうな言葉とは反対に、皇羽さんが私に優しく触れているのが分かった。
「(皇羽さんって、一体…)」
漠然と抱いた疑問を口にしようか迷っていた、その時。
壁にかかっていたテレビが、パッと急に作動した。静かな空間が、一気に騒がしくなる。
「わーすごい。初めて見ました、壁掛けテレビ!」
興奮する私。だけど、反対に青い顔をしたのが皇羽さん。
「げ、視聴予約の時間か。やべぇ…」
「やべ…え?何がです?」
皇羽さんは私の話を聞かず「早くどけろ」の一点張り。そっちから抱きしめて来たくせに…!
当の本人、皇羽さんは「リモコンがねぇ!」とクッションを持ち上げたり、テーブルの下を覗いたり…何とも慌ただしい。



