「…萌々」
「はい…」
「萌々…」
「~っ」
あまりに気持ちが籠った皇羽さんの呼び方に、涙腺が緩む。今にも泣きそうな顔をしてるのは、皇羽さんなのに…。
なんで皇羽さんが、私をそんな風に呼ぶかは分からない。珍しい名前でも、ましてや感動する名前でもないのに。
「(いや、感動する名前ってなに…)」
冷静に考えたら、変な空気だ。
変だ。変だらけだ。
会ったばかりの人にキスされるのも、部屋に連れ込まれるのも、こうして抱き合ってるのも――ぜんぶ変。
だけど、
「萌々は…。
私は、ここにいます…よ?」
「!」
体は大きいのに、小さな声で噛み締めながら私を呼ぶその声に――なぜだか応えたくなった。
すると一瞬だけ大きく目を開いた皇羽さんが「はっ」と短く笑った後。
私を見るために持ち上げていた頭を、ボスンとソファに落とした。
「なんか、夢みてぇ…」
「…夢?」



