ギュッ
「わぁ⁉」
いきなり皇羽さんが私の手を握り、そして抱きしめる。
すると柔らかいソファの上で態勢を保ってられなくなった皇羽さんが、そのまま後ろに倒れ込んだ。
私を抱きしめたまま――
「こ、皇羽さん…?」
「……」
皇羽さんは、いつまで経っても起き上がらない。どころか、私を離そうともしない。力強く、抱きしめたまま。
ギュッ
「皇羽さん…どうしたんですか…?」
訳が分からなくて。それでも、だんだん上がっていく自身の体温に困惑して…。とりあえず皇羽さんの名前を呼んでみた。
だけど、返ってきたのは私の名前。



