「エヴァ~!」

『あら。どうしたの? 今日は確か、婚約者と対面の日だったわよね?』

「そうなんだよ! 問題はそこなんだよ!!」


エヴァが『......ほぇ?』と思いっきり気の抜けた声を出しているのを聞いて、わたしはさらに強く言い放つ。


「あああ、どうしようっ! 悪い印象を持ってもらわないと! 好みのタイプとかあんのかな⁉」

『......』


エヴァが静かに押し黙る。そして、わたしを白い目で見つめていた、のだが。

そんなことにはまったく気づかず、わたしは「それよりまずは、とがめられないように気を付けないと!」と、気合を入れなおしていた。


  ゜ ❅ * ❅ ゜


「お母様、お父様、やってまいりました」

「座りなさい」


婚約者——ヒメル・シャンドレインとの対面。

部屋にやってきたわたしは、赤い革張りのソファに腰かけた。

目の前には、サファイアブルーの瞳に、シルバーの髪。


「......フィア。彼が、君の婚約者だ」

「よろしくお願いしますね」