氷の王子さまは、花のような魔女に永遠の恋をする。

応接間に行くために、身支度をする。

わたしの持っている中で、一番きれいなお洋服にそでを通した。

床に座るとお洋服が汚れてしまうから、立ったまま髪をすいた。


「んー......お母様がわたしを呼ぶってことはやっぱり......かなぁ?」

『そうかしらね......。そんな感じがするわよね』


もしそうなら......わたしは......。

笑顔になってしまうのを何とか抑える。


「ふふふふふ......ふふふ......」

『......何事かしら?』


エヴァが『正気を疑われるわよ』と言ってきて、そのなめらかで耳当たりのいい声を聴きながら、笑みを隠して応接間へと向かった。

素材のよさそうな赤い革張りのソファに腰かけて、お母様がわたしへと視線を向けた。


「......お母様、ただいま戻りました」

「フィア」

「......どのような御用でございましょう?」


そう聞いたわたしは、返事が返ってくるのを待つ。

返事はなく、テーブルの上にすっと差し出された一枚の写真。

そこには、サファイアブルーの瞳をした、青年が映っていた。


「......ヒメル・シャンドレイン......」

「そうよ」


お母様は、こっくりとうなずいた。


「フィア。彼が、あなたの婚約者よ」