「あー! 最近全然暴れてないよ!」

『暴れてって言った?』

「だって体動かしたいんだもん」


動かさなきゃ体なまっちゃうのに、と言いたげにしながら、わたしはふわふわと浮かんでいる者を見つめた。

腰あたりまで届く金髪は、透明感があり、この世のものとは思えないほど綺麗。

耳上につけられているハナニラはとても大きく、淡いピンク色。

ひざ下くらいの淡いピンク色のオフショルダーのワンピース。

オフショルダーのふちにギャザーが寄せられていて、ふんわりと優しい感じを醸し出している。

腰のあたりには上品なレースがつけられ、胸元ではかすかな陽光を受けてアクアマリンがきらめいていた。

三角スカーフのような形の藤色の光沢があるリボンが、天女の羽衣のように白い陶器のような腕を通している。

そんな彼女のアクアマリンのような色をした瞳を見つめながら、わたしは独り言ちた。


「だって、最近悪事を働く魔物がいないんだし、体、なまっちゃうんだよ」

『ストレス発散と暇つぶしに、魔物ぶっ飛ばしてるものね』


そう返してきたあまりにも美しくきれいな姿をした彼女は、精霊なのである。

......まぁ、それはしょうがない。はずだ。

そんなことを胸の中でつぶやく。

ずっとここにいたら、引きこもりと化してしまう。

それに、ここに一日中いるということはどうしようもなく体がなまるのだ。