氷花の魔女———別名 夜明(よあけ)の魔女。


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 プラミセル皇国北部辺境。

 そこではいつも、魔物による被害が大きく、それに悩まされてきた。

 それも、最強レベルの飛竜種を筆頭とする、凶暴かつ聡明な魔物の生息地《邪魔の山》に面しているからである。

 そんな状況が大きく変わったのは、今から7年前のことである。

 7年前、北部辺境を襲った歴史に残る規模の魔物の暴走( アンラァシュ)を一人きりで止め、見事被害を出さなかった、一人の魔法使いがいた。

 このことで、ある一人の魔法使いは魔法界に大きな衝撃をもたらしたのである。

 《氷花の魔女》———別名 夜明(よあけ)の魔女。

 さらにその2年後には、人類初となる世界最大、最強レベルの飛竜種による暴走を一人で食い止め、単独討伐を達成。

 プラミセル皇国中で、顔も本名も知らない氷花の魔女のことがうわさされた。

 誰にも理解できないほどの魔法式。

 とてつもない力量で放たれる魔法。

 一体、彼女は誰なのか———。


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