これだから、って......。

息を詰まらせる。

さっき言った時のお父様、やんわりと止めているようなそぶりだったけど、わたしのことにらんでた......。

そう、だよね。こんな奴、邪魔だって思うよね。


「......はい」

「それでいい」


これでいい。

わたしは、別にこれでいい。
この人たちに何を思われてもいい。

それが、わたしにとっての普通だ。

気にならないはずなのに、どこか胸がチクっとしたのは、きっと気のせいだ。



  ゜ ❅ * ❅ ゜


「僕は、貴方に興味がない」


「言わせてもらうが、」———そう言って話を切り出したヒメル・シャンドレイン。

彼がその言葉に続いていったのは、そんな一言だった。


「......はいっ! ヒメル様の迷惑にならないようにしますっ」


わたしは、明るさをにじませた声で返事をした。

大きくうなずく。

それで十分。

そして願わずば、婚約破棄!
そしたらわたしは、自由の身になれるっ!

............ここは、シャンドレイン家のお屋敷。

シックな感じで統一されている、上品なお屋敷だった。

そんなお屋敷に、こんなことを言われて明るい声で返事をする人がいるのだ。
...わたしだけど。