にこり、と笑う。

威圧的なお父様、こちらをウフフとほほ笑んでみているお母様。

......気持ちが悪い。

でも、やっと、これで、自由になることができる。

わたしは、あせる気持ちを抑えながら、優しく笑った。

......大丈夫、まずは平気。

婚約破棄されたら、わたしはこの両親から捨てられることはほぼ確定。それか幽閉。
ここではまだ婚約破棄をされちゃいけない。

ここでされたら、すごーく困る。

だから第一印象は、まあまあか、くらいでいい。

......完璧だっ!

わたしは、心の中でガッツポーズ。そして自画自賛しまくる。

心の中を見られたら痛いやつになるだろうけど、気にしないし、それはない。

ヒメル・シャンドレインは、読心術を使えない。

さらに言うと、ヒメル・シャンドレインは[氷の騎士]と[水の騎士]、さらに[雷鳴の騎士]の称号を手に入れている。

[○○の騎士]という称号は、国一番の○○の魔法を使える人に授けられる。

わたしは、何も持ってないけど......
でも、そういう魔法使いの称号って、あこがれる。

わたし、魔法が好きだから。
わたしの使える魔法は、水と氷と花の魔法。

だけど、......魔道具に魔力を込めるとかは......すっごく苦手。

一回、こっそりバレないように試してみたけど、ぶっ壊れちゃったんだよね......。


「ア......。......フィア‼」


っ、やばっ......。

話聞いてなかった......。


「これだから、フィアは......もう少し、しゃんとしなさい。ダメダメじゃないか」

「......っ......」


ダメダメ......。