『悠介。血筋なんてたいした問題じゃないよ。ほら、私の家がこれ以上ないくらいいい例だよ』
『母親は血の繋がりなんてない兄を溺愛してるし、父親は血の繋がりのある私を助けてくれることもなかったし、いないものとして過ごしてた。だから、血なんて関係ないよ。悠介は、今まで築いてきた、お姉さんやおじい様との関係を信じればいい』
勘違いした私が必死になって悠介に伝えた言葉だ。
私が勝手に暴走しただけだったけれど、悠介からしたら罪悪感を抱いたようで、逆に申し訳なくなる。
気にしなくていいと伝えようとしたのに、寝ころんだままの悠介が私を見上げてくるので、胸が射抜かれ声を失った。
「俺のためにそこまで身を削って励ます必要はない。もし、柚希が言った通りだとしても、本来の家族以上におまえを大事に考えている人間は他にいる。それを忘れるな」
優しい言葉をかけられ、ドキドキしながらも自然と頬が緩んだ。
いつだって、悠介は私の気持ちをこうしてフォローしてくれる。それをもう身をもって知ってしまっている自分に気付いた。
……そうだ。同じ部屋で暮らしている中で悠介が大事にしてくれていると知り、実感し、安心したから、きっと、恋をする余裕ができたのかもしれない。それまではとにかく必死で、そしてどんなに外で誰かに優しくされても家では独りだったから、とてもじゃないけれど恋愛に気持ちを割けなかったんだ。
そんなことに今更気付き、この同居生活を持ち掛けて与えてくれた悠介に感謝の思いでいっぱいになる。
ドキドキしながらも、右手をそっと伸ばし悠介の頭を撫でた。



