契約夫婦なのに、スパダリ御曹司は至極の愛を注ぎ続ける



グラスの中でウイスキーベースのカクテルが作られていく様子を眺めながら、四日前からずっと引っかかっている柚希の言葉を思い出す。

『違うよ。私がそうした方がいいんじゃないかって思ったの。だって、今の状況は、私が悠介に迷惑をかけてるだけだから。助けてもらってすごく感謝してるのに、私はたいして返せていないし、その、今後もその機会がないならもう終わらせた方が資金的にも悠介に負担をかけずに済むかなって……役に立ってないのが落ち着かなくて』

戸惑い瞳を揺らしながら、震えた声で言った柚希を思い出し、眉を寄せた。
ただ、突然、契約の終了を早めようとするから、そこに雄二さんへの想いが絡んでいるんじゃないかと俺が勝手に勘ぐっただけで、彼女にあんなことを言わせたかったわけじゃなかった。

最近、柚希がなにか言いたそうにこちらを見ていることにも、そして結局なにも言わずに目を逸らすことにも、気付いていた。

そして、雄二さんとの電話を終えたタイミングでの提案となれば、雄二さんから助言を受けたか、もしくは柚希の感情が変わったかと疑いたくもなる。

昔から彼女は雄二さんにとても懐いていて、どの種類の好意かはわからないが、いつだって駄々洩れだったのだから。

「いい店だな。でも、待ち合わせに使うにはわかりにくすぎないか? 一軒家かと思って少しドアの前でうろうろしてたから、我ながらはたから見たら完全に不審者だったな」

隣に座りながら声をかけられる。
見ると、雄二さんが笑いかけてきた。