「宇花、待って、話を聞いてほしい。」


「あれ~?ココアってもうないっけ?あっ!あったここだ!」

宇花は話なんか聞きたくないよ。


「逃げないで、話聞いて。そのために呼んだんだから。」


「ゆうくん、コーヒーブラックで良いよね?」


「宇花、」

「宇花、苦いの飲めないから憧れるな~」

「宇花」

「かっこいいよね、コーヒー飲めるの」

「宇花!話聞いてって言ってるでしょ?」

「っ!」

びっくりした。

ゆうくんが大声出すとこなんて初めてみた。


雄斗は驚いた様子の宇花をみて、しまったと言うように、表情を歪めた。


「宇花ごめん…大声出して」

申し訳なさそうに眉尻を下げる雄斗の表情は、いつものそれであったのだ。