次の瞬間,称賛と次を狙う人間によってコメントが埋まる。

この配信でのルールは単純だ。

彼女が受け答える間,それを受ける人間以外がコメントしないこと。

セクハラ染みた文など,明らかに関係ないコメントを(連投)しないこと。

1度でも破れば,彼女によって強制退場となる。

なお,配信画面の半分はその文で埋まっており,知らなかった等は通用しない。

ここでは日頃の愚痴,悩み,出来事をコメントする事が出来た。

彼女がその中から気になった物を選び
共感,アドバイス,反論等,自身の言葉で容赦なくリスナーに返すのだ。

彼女曰く,配信は1人で呑むのがつまらないから行っているのであって,それらはその場にいる人間への対価·サービスでしか無いのだそう。

経験·雑学·偉人や小説家の言葉の引用など,彼女の話を聞きに来る人間は多い。

それからまた2人のコメントへ返した彼女は



『あぁ,もうこんな時間か。悪くない』



挨拶を一言残して,惜しむことなく配信を終了した。

画面は真っ暗になり,白い1文が浮かび上がる。

もう,終わりか。