…そうだよね、変えたくて来たんだもんよくないよ!

「ごめんねっ、一ノ瀬くん…!」

もう一度手を伸ばしてやり直そうと思った。

改めてよろしくお願いしますって挨拶をしようと思ったのに。


―抱きっ


初めて聞く効果音、いやそんな効果音あったかな?
それって効果音って言うのかな?

てゆーか何この感触、人肌温度が温かい…


え…



パチッと目が合った、一ノ瀬くんと。



その距離何センチ?


近すぎてうまく顔が見れないくらいに。

「キャーーーーーーっ!!!」

次の瞬間、咄嗟にどんっと突き飛ばし大声で叫んじゃった。

だってびっくりして、振り向いたら一ノ瀬くんがいて、一ノ瀬くんの胸にピタッとくっつくみたいな。

え?何あれ?何なの!?今の何なの!?

「痛…っ」

「あ、あのっ」

これでもかってくらい力強く突き飛ばしちゃったから一ノ瀬くんが尻もちをつくみたいに倒れ込んでいた。

「ゴミ」

「え?」

「髪の毛にゴミ付いてたから取ろうと思ったんだけど」

一ノ瀬くんの手には小さな糸くずが乗っていた。

きっと新しい制服に腕を通したからその時付いちゃったんだ。

「驚かせてごめんね」

パッと糸くずを払った手を合わせてにこっと笑った。

「え、ううん…」

絶対怒鳴られると思ってたから、そん風に笑ってくれるなんて思わなかったから。

「私の方こそ、…ごめんなさい」

男の子ってこーゆう人もいるんだって思った。