「羽実…!」

ぎゅっと引っ張られた左手ににぬくもりを感じた。

え…

「あ、ごめん!手…っ」

すぐにそのぬくもりはどこかへ行ってしまった。

白くんが一度繋いだ手を離したから。

追いかけて来てくれたんだ…

「ごめん、さっき…変な態度取ったりしてっ」

1人でここまで来ちゃったけど、ちゃんと見ててくれたんだ。

私のこと、まだパートーナーだって思っててくれるんだよね…


遠くなった白くんの手に近付いた。

手を伸ばして…


自分から初めて触れた。


「羽実…!?」

白くんの右手を両手でぎゅぅっと包み込むように握った。

「私…っ、変わりたいって思ってここに来たの!」

白くんの目は見れなくて、握った手の方に顔を向けた。

ギュッて目をつぶって、震える声で話した。

「まだ全然できないこといっぱいあるし、迷惑ばっかかけちゃうし、白くんに嫌な思いもさせてる…かもしれない。男の子が…苦手なのも、変わらない…けどっ、でもっ!」

小さく息を吸う。

さらにぎゅっと強く手を握って顔を上げた。

「金の夫婦の卵になりたいって思ってる…白くんと!」

気持ちが伝わりますように、そう想いを込めて瞳をまっすぐ見つめた。

ドキドキして、今にも心臓が破裂しそう。


こんなに男の子に近付いたのは初めてだった。


「だから…」

手が震えちゃう。

でも怖いんじゃないよ。


正直言ったら怖いけど、今まで思ってた怖いとは全然違って。

こんな風に思ったことはなかったから。


「白くんのこと教えてほしい」

気持ちを聞くのは怖いんだなって思ったの。

「羽実…」

もっと、ちゃんと、知りたい。


関係なくないよ。

だって私たちデステニーで選ばれた2人だもん。

「ありがとう」

そしたらもっともっと通じ合えるよ。


そしたら私…!


「でも羽実はきっと嫌いになるよ」

「え…?」

「俺の事、パートーナーじゃなかったらよかったのにって思うよ」