多くてグラスに一杯。一杯も飲んでいないときもある。

 最初は、そのこといまったく気がつかなかった。彼は、チビチビと飲んでいるからかもしれない。

 飲めるようになって、たいてい三杯は飲む。それ以上は、ぜったいに試さない。どうなってしまうかがわからないので、怖いからである。

 彼は、わたしのグラスに注いでばかりいる。わたしが彼のグラスに注ぐのは最初の一杯だけ。それ以降は、一度も注いだことがない。当然、彼が自分で自分のグラスに注ぐことはない。

 彼自身が飲むのを控えているのか、それとも弱いからなのかはわからない。

 しかし、葡萄酒の知識は豊富で、ほんとうに様々なことを教えてくれる。味や香りも含めて。