「この手紙には、二匹の蛇の紋章が入っています」

 リタが言った。

 二匹の蛇の紋章……。

「リタ。それって、もしかしてロイター公爵家の紋章?」
「お義母(かあ)様、そのとおりです」

 ラインハルトが見ていた招待状に、二匹の蛇が絡み合っている紋章が入っていた。そのときに彼に教えてもらったのである。

「しかも、この筆跡はディアナのものです。わたしたちは、一度見た筆跡はいくらかえても見抜くことが出来ます。筆跡というのは、根本的なものは変えることが難しいからです。もっとも、彼女は筆跡をかえようともしていませんが」