彼女のどぎついメイクが施されている顔に、不気味な笑みが浮かんだ。

 彼女、きっと自分では魅力的とか官能的な笑みだと思っているのね。

 残念すぎるわ。

 昔、お酒に溺れていないときには絶世の美女と騒がれていたらしいけど、いまは違う。

 いまは、彼女の姪っ子のディアナが、いまは絶世の美女と騒がれている。
 
 残念だけど、ときの流れは容赦がないのね。それから、彼女を取り巻く情勢も。

 執事長のヴォルフに付き添われて部屋を出て行く彼女の背は、いまだ昔の栄光をひきずっているかのように自信に満ち溢れていた。