ド底辺の「たらいまわし王女」の私が「獅子帝」と呼ばれるおっさん皇帝に嫁いだら、超溺愛が始まりましたが……。あの、これって何かの間違いではありませんか?

 眺めれば眺めるほど、どこかで観たことがあるような気がする。つい最近とかではなく、遠い記憶の中に見え隠れしている。そんなわけは絶対にないのに。

「陛下、どうされたのですか?」

 ハッと気がつくと、ラインハルトが驚き顔でこちらを見ている。

「チカ。きみは、思い出して……」
「はい? なんとおっしゃいましたか?」