だから、手短に自分のこれまでのことを話した。

 やさしい二人は、そんなわたしのくだらない過去の話を辛抱強くきいてくれている。

 手短といっても、そこそこ時間がかかったかもしれない。

 話し終った時、両隣から鼻をすすり上げる音がきこえてきた。

「あ、いえ、ここら辺りの木の花粉に弱くて。なあ、シュッツ?」
「ええ、ええ。この時期は、花粉が飛びまくっていますから」

 二人とも、急に鼻をかんだり目元を手でこすったりし始めた。

 いまは、森の中の道なき道を進んでいる。