何気ない話を歩きながらしていた二人だったが、不意にテイラーがニッと笑う。絆は嫌な予感を感じた。

「ねえねえ、絆はあのイケメンさんとどうなったの?」

「イケメンさん……」

「大学に時々来てるでしょ?FBIの人だっけ?」

興味津々、という言葉が似合うキラキラとした目を見せるテイラーに対し、絆は暗い顔をしてため息を吐く。

「あの人、何かにつけてしつこいのよ。いい加減にしてほしい!」

思い出すとまた腹が立ってくる。テイラーに今までされたことを怒りながら話していくと、テイラーは少し不思議そうな顔を見せた。

「ねえ絆、絆はどうしてそんなに怒ってるの?」

「どうしてって、あたしがどれだけ「やめて」って言ってるのにアプローチしてくるから?」

絆がそう言うと、テイラーにそっと手を取られる。オスカルの手より小さく、感触も全く違う手だ。

「私の手と誰の手を今比べてるの?」

テイラーに訊ねられる。だが、オスカルだとは言いたくなく、絆は黙っていた。だが心理学を学んでいる人間には全てお見通しのようだ。