「んぅ……っ!」



お姫様抱っこをされたまま、生吹くんが私にキスをした。



「は、ぁ……っ」

「美月、俺の目を見て。俺に、全部委ねて」

「い、ぶき……くん……っ」



何度も重なる唇が、私を現実に戻す。

目の前の生吹くんが、だんだんとハッキリ、色濃く視界に映った。



「あ、ぅ……っ」

「美月、可愛い。もっと俺を意識して」

「(生吹くん……っ)」



私を正気に戻そうと囁いてくれる、その言葉が。

スポンジに水が浸透していくように、私の体にジワジワと広がっていく。

水――だけど、それは温かかくて。

冷え切った私の体温が、徐々に戻って来た。



「はぁ、はぁ……っ」

「大丈夫?美月」

「だい、じょうぶ……っ」



正気に戻ると、何だかすごい事をしていたようで。

一気に恥ずかしくなって、別の意味で大丈夫じゃなくなる。