「え、ちょ、待って」



少し慌てた声の生吹くん。

その次に聞こえたのは、ギュム――という鈍い音。



「ん?なんか、お尻に、柔らかいもの、が……」



不思議に思って下を見る。

すると、そこには――
フェンスの下からこちらへ手を伸ばした、生吹くんの腕。

そして私のお尻の下に、生吹くんの手が、綺麗に敷かれていた。



「ぇえ!ご、ごめんなさい、すみません……!」



私のお尻の下に、生吹くんの手が!?

申し訳なさすぎて、ピョンと生吹くんの手から降りる。

すると私から顔を背けた生吹くんが「ごめん」と、なぜだか私より申し訳なさそうに謝った。



「可愛い美月に地べたに座らせるわけにはいかないって思って……咄嗟に。

でも、よく考えたら、変態みたいだよね。ごめんね」

「い、いえ、そんな事は……っ!」



むしろ「お尻で引いてしまってすみません!!」と謝る。


すると校舎に挟まれたその場に、とんでもない言葉が反響した。



おしりでひいてしまって―
おしりでひい―
おしり―
お―