「それからここで働くスタッフは、皆ウォーリング家からお給料をもらっている。つまり地元の人は職探しに困らずに済むんだ」
「そうなんだ。地域の人に働く場も提供してるのね。アレンは優しい地主さんてところ?」
 
絵梨の言葉に、仁はうーんと少し考える。

「そうかもね。あ、でもちょっと違うか。あいつのおじいさんの、そのまたおじいさん、いや、違ったかな?」
「・・・何言ってるの?」
 
絵梨が冷めた目で見ていると、とにかく!と仁は語気を強めた。

「あいつの先祖は伯爵だったんだよ。今は違うけど、地元の人達は今でもウォーリング家
を讃えてる。だから今は、慕われてる大地主ってとこかな」
 
思わぬ話の展開に、ええーっと驚きの声を上げる絵梨と美桜だったが、仁は気にする様子もなく、お、ここにしようぜ。エスニック料理食べたかったんだ。と店内にスタスタ入って行った。
 
大皿で次々出てくる料理を、仁は手早く取リ分けてくれる。
ナシゴレンや生春巻きなど、どれもこれもとてもおいしかった。

美桜がパレスのことを聞かれたのは、ちょうどサラダのおかわりを仁が渡してくれた時だった。

「どうだった?パレス。ジョージパパにも会った?」
「やだ、仁くん。ジョージパパって」

(でもその呼び方は合ってる気がする)
美桜は思わずクスッと笑った。

「あ、そうだ。さっきアレンから連絡あってさ。明日、四人で出かけないかって」
「え、どこどこ?行きたーい!」
 
まだ行先も聞かないうちに絵梨が答える。

「まあ、行ってからのお楽しみかな」
仁の言葉に、わーい!楽しみと絵梨が喜ぶ。

「絵梨ちゃんったら、気が早いね」
そう言いつつ、美桜もなんだかわくわくしてきた。

(四人でお出かけかあ。うん、楽しみ!)