ゆっくり起き出してみると,丸机の上に何かが置いてあって。

それを読み終えた頃,後ろで大きく目覚まし時計が鳴った。

それを手に取って見た俺は,驚きで目を丸くする。



『はっっや!』



時刻は5時。

出勤時間を考えれば,あり得ない早さだった。

単なる仕返し。

置き手紙を読んでいたからか,直ぐに思い至る。



『かわいい』



きっと先輩は,自分の言葉に相当驚いたんだろう。

そう考えたら,もうそうとしか言えなかった。

そう微笑みながらも,容赦なく目覚ましを止める。

先輩のとは言え,ただの無機物に,興味はない。

じゃあ,もう戻ってこないな。

そう思いながらようやくじっくりと部屋を見渡した。

一人暮らしの部屋に,文句をつけるつもりはない。

ただ



『きったねぇ』



物が散乱している様子に,つい笑う。

苦手なのかな。

普段の整えられたデスクを思い出せば出すほど,意外で可愛く感じた。

顔を正面まで上げて,ぱっと逸らす。