お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。





あ……、この子って。


私が雅とショッピングモールにメンズ服を買いに行った日。

たまたま足を止めてしまったお店で、数人の友達に囲まれてワンピースを選んでいた子じゃない……?



「ほんとうは一緒の高校に行きたくて。でも…意地悪をされちゃって」


「いじわる…?」


「とある高校に行くって教えてくれたので、わたしも同じところを受けたら……実は彼はぜんぜん違う高校を受験していたんです」


「えっ、なにそれひどいっ」


「…ふふ、それくらい嫌われちゃってるんですわたし」



いやいやっ!

どう考えてもそんな意地悪するほうがひどいと思う…!



「最低だよそいつ!」


「でも許せちゃうくらい格好いいんです。それに、ふとしたときに優しかったりもするので」


「ええ…、顔がよくても許せないことはあるよ…?」



うちにもすっごくルックスはパーフェクトだけど、性格に問題注意警報が鳴っている男の子がいるから。

初めて顔を合わせたときは脳内にサイレンが響き渡ったほどだ。