お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。





そしてどうしてこうなってしまったのでしょうか。

人が多かった、暗かった、歩くのにも大変だった。


結果、迷子になりました。



「ど、どうしよう…、どうすればいい…?」


『なんとしてでも向かうから、動かないでそこにいろよ』


「え、でもナナちゃん泣いてない…?大丈夫…?」


『泣きそうな奴がなに言ってんの。いいからそこで待ってて。あ、変な奴に絡まれても絶対ついて行くなよ』



その声が今日でいちばん優しく聞こえて、できればずっと電話を繋いでいてほしい……と思っていれば。


プーッ、プーッ。



「……なんと」



ブチッと呆気なくも切られた。


ナナちゃんとはぐれてしまって、とりあえず落ち着くために人のいない場所へ進んでみたはいいものの。

どんどん迷子になってしまって今。



「どうしよう…、すれ違う女の子みんなに声かけられてるよね、ぜったい…」



そしたら窒息しちゃわない…?

今日は私がいたから何とか平気みたいだったけれど、学校とはまた違って他校の生徒や大学生だってわんさかいるお祭りだ。