「はいっ、花火セット!隣にいる格好いい彼氏と楽しんでね!」
「わっ、ありがとうございます…!……え、彼氏っ!?えっ?いやっ、あの…!」
「はははっ、若いっていいねえ~」
丸い縦型の袋に入った花火セット。
そのなかに手持ち花火や線香花火、家庭用の打ち上げ花火が詰めに詰められていた。
嬉しさよりも恥ずかしさが何倍も埋め尽くすなか、私の手からひょいっと花火セットは奪われる。
流れるままに目を向けてみると、どこかふわっと微笑んでくれたような…。
「よかったね。おばさんが喜ぶんじゃない?」
えっ、“彼氏”って勘違いされたことに対するこの世の終わりフェイスは……してない。
「ナナちゃんそれ私が持つよ…!」
「俺、牛串食いたい」
「っ…!」
スッと、スムーズすぎてびっくりする動きで引かれた手。
200円でこんなにもお得な商品がゲットできちゃったなんて、さすがにテンションが上がるとしても。
逆にすごくすごく落ち着かない…。



