お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。





どこか緊張するなか、私のスピードに合わせてくれるのはやっぱりナナちゃんだった。



「ナナちゃんはこのお祭り、去年も来たりした…?」


「……まあ」


「そ、そうなんだ…」



だれと来たの───?と、すぐに聞いてしまいそうなくらい喉にまで迫ってきていた言葉。

強引にでも飲みこんで、初めての景色に興味津々なふり。



「いまの十波くんじゃなかった…!?」


「えっ、うそっ!暗くて分からなかった…!」


「だってすごく格好よかったもん…!浴衣着てたっ」


「やだーっ、見たかったあ~!!」



間違いない、同じ高校の女子生徒だ。

そりゃあこの町で有名なお祭りなんだから、居ないほうが珍しい。



「おめでとう!2等だよ!!」


「えっ」



カランカランと、大きなベルの音。

通りすぎた周りの人たちも足を止めて好奇心に覗いては拍手をしてくれる。


それは手持ちぶさた回避に試しに向かった、ひとつの屋台にて。

まさかのくじ引きで2等が当たっちゃうなんて……。