交換ノート作戦、早くも失敗の予感。
しゅんと項垂(うなだ)れながらもぺこりとお辞儀をして、階段を降りた。
“7月7日の七夕まつり、よかったら一緒に行きませんか!”
さっそく1ページ目に書いたお誘いは、見られることすらなく終了しそうだ。
───と、諦めていたのに。
「お、ふたりとも似合うじゃないか」
「うんうん!ビシッと決まってるじゃない!」
着付けられた浴衣、流れるまま施したメイク、髪に付けられた髪飾り、そして嬉しそうな両親。
「動きにくい」と繰り返す男の子は、また違った雰囲気をまとったイケメンとなっていた。
「お母さんたちは家で花火を見るから、また何かあったら連絡してね」
「う、うん」
「どうしたのゆら?帯をキツく結びすぎちゃったかしら」
「ううん、大丈夫…」
え、本当に一緒に行ってくれるの……?
交換ノートはもちろん返却されていないから、てっきりこうなるとは思っていなかった。
「祭り、行かねえの」と、今朝になって話題を出したのはまさかのナナちゃんで。



