お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。





う、うん…。
ちょっとグサッとくるけど、そのとおりだ。

とくべつ仲がいい友達は雅だけ。



「か、家族と行ってみようかな…!初めての場所だから尚更!」


「あ、それならウチも安心。楽しんできなよー」


「う、うん」



“家族と”なんて、雅には誤魔化したけれど。

そう言って連想されたのは、お母さんやおじさんではなく、ナナちゃんでした。



「……なにこれ」


「交換ノート!今日からナナちゃんとしようかなって…!」


「…なんでもう決定事項なんだよ」


「えっ、だめ…?」



書くだけだよ?
日記みたいなものだよ?

小学生のとき、クラスの女の子たちがしてなかった…?


という気持ちを込めに込めてその日の夜に渡した交換ノートは、案の定、ぽいっとベッドに投げられる。



「あーっ!そんな…!」


「こんなことしてる暇あったら勉強でもしたら」


「うっ…、返却期限はとくに決まっておりませんので……、ぜひともよろしくおねがいします…」