お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。





「髪、伸ばしてたんじゃねーの」


「こ、これから夏だし…、いいかなって」


「嘘つけ。…俺が女嫌いだから、せめて男っぽくなろうと思って切ったんだろ」


「……うん」



あ、また表情が崩れた……。

どこか泣いているようにも見える、その顔。



「冷凍パスタだっていつも買ってきてるし」


「す、好きなのかなって…」



冷蔵庫を確認して、減ってきていたらさりげなく追加させているのはもちろん私。

黙って取り出して黙々と食べている彼を見るのが私も好きだったから。



「あっ、それと今日、消しゴム貸してあげられなくてごめんね」


「……だからさあ」


「え…、お、怒ってる…?───ひゃっ!」



ぽすっと、顔が落ちてきた。

首筋にかかる吐息。


今日はありえないことがありすぎて、驚きを通り越して冷静になってる。



「ほんっと、お人好しなお節介のアホ」


「………」



褒められいるのか、バカにされているのか、果たしてどちらなのかと。

くすぐったい、ドキドキする、どういう状況なのか理解が追いつかない…。



「…なんで俺のためにそこまですんの」



それは私だけに伝えられた言葉には聞こえなくて、どう言ってあげたらいいか迷ってしまった。