お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。





「言っとくけど俺の立場って、あんたの初めてを無理やりにでも奪えるから」


「……うん」



は、まちがってた。

ぜったいぜったい間違ったリアクションを条件反射にも返してしまった。


ほら、呆気にとられたような顔してるもん。

なに言ってんのこいつって呆れてるもん。



「…ほんとにいーの?」


「……うん」



だから間違ってるってば私。

条件反射にうなずけばいいってもんじゃないの、ここは。



「いっぱい泣かすけど」


「…精神、強いから私っ」


「そういう問題じゃねーし」



じゃあどういう問題…?

ナナちゃんは年下、年下の可愛い男の子、私の義弟、だから痛いことはされない……はず。



「で、でもナナちゃんこそ…、こんなに近くて大丈夫なの…?」


「…俺が俺にいちばん驚いてる」


「む、無意識ってこと…?」


「……たぶん」



そう言われて嬉しい気持ちを感じてしまっているのは、きっと私だけ。

あのときの何気ない友達の言葉は、何度も何度も私に考える機会を与えてくれている。