「ナナちゃん…、さ、さささ触ってる、よ…?」
今さらだけど。
すっごーく今さらだけど。
「…勝手にやってきたのはそっち。…責任持てよ」
「は、はい…」
責任って……なんのだろう。
思えばベッドに腰掛ける男の子を抱きしめてしまっている私。
離れるタイミングを逃しまくった現在。
今の気持ちをひとつだけ言ってもいいとしたら、この体勢は腰がちょっとつらい。
「てかさ、そんな無防備でいーの?」
「…え……?」
反応ができなかった。
くるっと体勢が変わったと思ったら、気づけば背中は柔らかくて。
天井が見えるよりも先にペパーミントが広がって、目の前には抱きしめていたはずの義弟くん。
切れ長の目は鋭くも見えるのに、仄かな優しさを備えている眼差し。
前髪重めで全体的にくしゃっとしたくせ毛風のマッシュから始まって、透き通った鼻筋、形のいい耳、柔らかそうな唇。
こんなに何もかもが整ったルックスの人が存在するんだ……って、しみじみと見とれてしまう。



