お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。





どうしよう。
止まりません、冷や汗が。

決して雨で冷えたからではなく、まったく別の意味で止まらないのです。



「切腹じゃね」


「……ま、まじですか」


「敬礼と土下座じゃ足りないから。さすがに」


「で、できれば見逃してほしいところであります…」


「むり」


「………」



変なこと言ってもいい…?

ぜったい怒られるだろうけど、いいよね心のなかだから。


背中にね…?
背中に、私じゃない手が回されてるの。

あっ、幽霊とかじゃなくてね……?

……え、幽霊じゃないよね…?



「な、ナナちゃん…、温かい飲み物とか飲もっか…?」


「のど渇いてない」


「と、とりあえず身体拭かないと冷えちゃうから…」


「別に俺はそんな濡れてない」



逆に引き寄せ……られてる…?


どうにも今日もまたお母さんは留守みたいで。

あ、そういえば確か今日は区民センターで月に何回か行われるお料理教室の日じゃなかった…?

それが栄養士のお母さんのお仕事でもある。