「でもきっと、そういうことを考えられる雅だからキャプテンに任命されたんじゃないのかな…。
って、素人の私の意見だから鵜呑(うの)みにしなくていいけども…!」
「…いや、そう言って欲しかったから鵜呑みにしてやる。さんきゅ、ゆら」
どこか悩んでいる部分もあったはずなのに、私の言葉で本当に心から嬉しそうに笑ってくれるのが雅だ。
ここは私じゃなく、きっと、きっとあの先輩が雅をサポートしてくれるだろうから。
「───丸井」
「っ!甲斐田(かいだ)先輩!!」
ほら、噂をすれば…。
呼ばれてすぐに席を立ち上がる姿は、まるで尻尾を振ってご主人様のもとへと向かってゆくワンちゃんみたいだ。
って言うと怒られちゃうだろうから、心のなかに留める。
「どうかしたんですか?」
「あー、いや、部活のことでちょっとな」
野球部キャプテンの甲斐田先輩。
彼はすごく爽やかな人で、部員や後輩だけじゃなく先生からも頼られる男子生徒らしい。
女の子のなかでは身長高めな雅も、甲斐田先輩と並ぶと“男女”というものがはっきりと区別できる。
「俺はお前の味方だからな。頑張れソフトボール部の2年キャプテン」
「っ!はい…!」



