それよりも、前だって今だって、あんなにガッツリ私に触っちゃってたけど吐き気とか大丈夫なのかな…。

そっちのほうが心配だ。


昨日からスマホをいじるたびに聞いてきたりするし、なにか気になっているみたいで。



「どう?こんな感じになったよ」


「わあ!かわいいです!ありがとうございます」



そんな今日は美容院。

見た目だけでもという作戦は、服だけじゃないのだ。



「雅ちゃんに“可愛く格好よくしてやって”って言われたから、腕奮っちゃった」


「え、そんなこと言われてたんですか…?」


「うん。でも、我ながらすごく似合ってるよゆらちゃん」



ここの美容院は雅がオススメしてくれたところだった。

セミロングだった髪の毛は床に散らばっていて、スッキリとしたボブ寄りのショートヘアになった自分の姿。



「この胸元のリボン、可愛かったんだよね…またね」



さっそくお家に帰って、自室にこもる。



「あ、これは去年の誕生日にお母さんから買ってもらったブラウスとスカート。…またね」



ひとつひとつ綺麗に畳んで、クローゼットのなかの衣装ケースへ。

そして手軽に取り出せるハンガーラックには昨日購入した新しい服を。


姿見に映った自分は自分じゃないみたいだった。