お姉ちゃんになった私は、毒舌クール義弟を手懐けたいので。





なんであんたが謝ってんの───と、私の手を掴む先からつまらなそうに聞こえた気がした。

そのままショッピングモールからどんどん離れて、閑静な住宅街へと進んでゆく。


しばらくすると窮屈な何かから解放を求めるように、ひとつの傘のなかを歩くフードとサングラスが取られて。



「だから言っただろ、雨降るって」


「う、うん」


「てか、どこ行くとか誰と行くとか、なんで俺に言わねーの」


「え、言わなきゃダメなの…?」


「は?一緒に住んでんだから言うだろ普通」



こんなにも大降りだというのに、私の心のなかは虹がかかるくらいに快晴だった。


ナナちゃんにとって、私と情報を共有することは当たり前だと思ってくれてる……?


それって無意識に飛び出した言葉なの…?

雅が言ってたんだけどね、無意識が本物なんだって。



「…うん。次からは言うね」



それよりもね、手、手が繋がれてるの。


いろいろ心配事が浮かぶんだけど大丈夫だよね…?

気絶とかしちゃわないよね…?